卓球プラスチックボールとセルロイド材質素材違い・規格変更

 
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卓球のボールの大きさや材質は、規格変更されています。セルロイドボールに代わり、2015年からはプラスチックボールが使用されるようになりました。

長年卓球をしている人でも、「え?セルロイドって何??もともとプラスチックじゃなかったんだ」と思った人も多いでしょう。

今回は、そんな卓球のボールの規格変更や、プラスチックボールとセルロイドボールの違いなどについて、解説します。

どうぞ最後まで、お付き合いください♪

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卓球ボールの材質・素材の変更理由

卓球のボールの材質は、2015年からセルロイドからプラスチックへと変更されました。

これには、以下の4つの理由があります。

・耐久性の低さ

・運送時の制限

・素材の供給不足

・ボールの飛ぶスピードを調整するため

それぞれについて、ここから詳しく解説していきます。

耐久性の低さ

ボールの材質を変更した理由の1つ目は、耐久性の低さです。

セルロイドは、燃えやすい素材です。製造工程で摩擦を受けて、発火しやすいリスクがあります。また、光などで劣化することも、懸念の1つでした。

さらに、セルロイドボールには継ぎ目があるので、そこから割れやすいです。

このように、耐久性の低さについては、以前から問題視されていたことが、素材変更の理由です。

運送時の制限

ボールの材質を変更した2つ目の理由は、運送時の制限です。

前述したように、セルロイドは燃えやすい素材です。そのため、飛行機での運送ができない可能性があります。

空輸ができないと、運送に余計な時間とコストがかかってしまいます。実際に2004年のアテネオリンピックでは、ボールが飛行機への積載を断られ、輸送が遅れました。

こうした運送時の制限を解決するためにも、ボールの素材が変更されました。

素材の供給不足

ボールの材質を変更した3つ目の理由は、素材の供給不足です。

セルロイドは、天然素材なので、供給が不安定でした。ゆえに、低品質なものが流通しやすかったのです。

そこで、供給が安定している、人工物のプラスチックが使用されるようになりました。プラスチックには、熱を加えることで変形する性質があります。この性質を利用し、簡単に大量のボールをつくることが可能になりました。

また、プラスチックは衛生的にも優れた材質です。

以上のように、素材の供給不足も、ボールの材質を変更した理由の1つです。

ボールの飛ぶスピードを調整するため

ボールの材質変更した4つ目の理由は、ボールが飛ぶスピードを調整するためです。

プラスチックボールは、セルロイドのものに比べて重いです。これにより、ボールが飛ぶスピードは遅くなり、ラリーが長く続くようになります。

初心者はラリーが続かないことで、挫折しやすい傾向がありました。また、観客も「卓球は見ていてもおもしろくない」と感じやすいということも、問題でした。

ボールの材質変更には、ラリーを長く続くようにし、競技性の向上を図る目的もあったのです。

このように、素材を変更した理由の1つは、ボールが飛ぶスピードを調整するためです。

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卓球プラスチックボールの特徴・セルロイドとの違い

次は、プラスチックボールの特徴や、セルロイドとの違いを解説します。

大きさと重さ・色・継ぎ目

プラスチックボールの大きさは40mm、重さは2.7gです。色は白で、継ぎ目はありません。

一方、セルロイドは38mm、2.5gです。色は色とオレンジの2種類で、継ぎ目があります。

ボールの大きさは2000年に、38mmから40mmへと規格を変更しました。材質は2014年に、プラスチックのものが登場し、2015年から使われ始めました。なので、それまでの間は40mmのセルロイドボールでした。

材質・大きさ・色の歴史を図で表すと、下のようになります。

 

また、プラスチックボールは継ぎ目のないものになり、割れにくくなりました。表面はツルツルしています。

一方セルロイドは、ちょうどボールを2等分するように継ぎ目があります。また、表面に小さな凹凸があって、ザラザラした感触です。

このように、プラスチックボールの大きさは40mm、重さは2.7gです。継ぎ目は、なくなりました。

球離れ

プラスチックボールは、セルロイドよりも球離れが遅いです。

「球離れが遅い」とは、ボールがラバーに当たってから、離れるまでの時間が長いことを言います。これはつまり、弾いて打ちにくい、ということです。

プラスチックボールのほうが重量が重いことで、スマッシュの威力はセルロイドより増しました。その反面、ボールが大きくなったことで回転はかかりにくいです。

通常、球離れは遅いほうが回転がかかります。これは、ボールがラバーと接触している時間が長くなるからです。

しかし、ボールの大きさの影響がこれを上回っているので、トータルとして回転はかかりにくくなりました。なので、回転系のループドライブなどでは、セルロイドのほうが威力があります。

このように、セルロイドよりもプラスチックボールのほうが、球離れは遅いです。

スピードと回転

ボールが飛ぶスピードは、プラスチックボールのほうが遅く、前述したように回転はかかりにくいです。

これにより、ラリーが長続きするようになりました。

セルロイドボールのほうが、スピードは速く回転もかかります。しかし、これが卓球が広く浸透しない理由でもありました。ラリーが続くことで、見る人もプレーする人も楽しみが増えて、人気が高まりました。

このように、セルロイドに比べてプラスチックボールのほうが、スピードは遅く回転はかかりにくいです。

ボールの軌道

プラスチックボールの軌道は、下図のように弧線を描く傾向にあります。

それに対して、セルロイドは直線的になりやすいです。

ボールの材質や大きさは、軌道にも大き影響を与え、違いを生み出しています。

このように、プラスチックボールの軌道は、弧線を描きやすいです。

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卓球プラスチック・セルロイドの違いが与える影響

セルロイドからプラスチックボールに変わったことによって、プレーへの影響も大きいです。違いやメリット・デメリットについて、プレースタイル別に解説します。

ドライブ主戦・中陣ドライブ

ドライブ主戦型の選手は、総じてドライブがよく入るようになりました。台から1.5mほど離れたところから、ドライブを打つスタイルの、中陣ドライブの選手も同様です。

ドライブは、下回転のボールを上回転にして返球する技術です。

この理由は、前述したように、ボールの軌道が弧線を描く傾向があるからです。

下図のように、直線的な軌道よりも曲線的な軌道のほうが、相手コートにバウンドしやすいです。

これは、ボールがバウンドする位置が、弧を描く軌道のほうが手前に(ネットに近く)なるからです。

回転がかかりにくくなったので、スピード重視のドライブのほうが威力があります。また、引き合い(打ち合い)になると、パワーのある選手のほうが有利です。

以上のように、ドライブ主戦型や中陣ドライブの選手は、プラスチックボールに変更となったことで、ドライブがよく入るようになります。

前陣速攻型・表ラバー

台のすぐ近くでラリーをする前陣速攻型や、表ラバーを使用している選手は、ボールを弾いて打つ技術がやりにくくなりました。

これは、球離れが遅くなったからです。

パワーよりもスピード重視で相手を追い詰めるのが、この戦型の強みです。以前のセルロイドのほうが球離れが速いので、これがやりやすかったです。

実際に、ボールを強く弾いて打つスマッシュやツッツキ打ちは、「セルロイドのほうが威力があった」と答える人が多いです。

このように、前陣速攻型や表ラバーを使用している選手は、弾くように打つことがむずかしくなりました。

カットマン

カットマンは、明らかに不利になりました。なぜなら、回転がかかりにくくなったからです。

カットマンは、守備を専門とする戦型です。台から2〜3mほど距離を取り、「カット」という技術で、ボールに下回転をかけて返球します。こうして、相手の攻撃を止めたり、ミスを誘発したりします。

プラスチックボールに変わったことで、カットマンはこのカットで、強い回転をかけられなくなりました。つまりは、回転量の変化の幅も小さくなったということです。

セルロイドボールは、表面に小さな凹凸があるので、ラバーによく引っ掛かります。これにより、摩擦量が多くなり、強烈な回転をかけることができました。

しかし、プラスチックでは表面がツルツルなので、強い回転をかけられないのです。守備技術だけでなく、高い攻撃力も兼ね備えなければ、カットマンが活躍するのはむずかしい現状です。

このように、カットマンにとっては、厳しい素材変更となりました。

粒高ラバー

粒高ラバーでは、繰り出すボールの回転の変化が少なくなりました。その反面、ブロックはやりやすくなりました。

この理由は、前述したように、回転がかかりにくくなったからです。

粒高ラバーの魅力は、多様な回転のボールを繰り出せることです。この変化が少なくなってしまったことは、残念です。

しかし、相手も回転をかけにくくなったことから、ブロックはやりやすくなりました。よりネットに近い、浅い場所に返球できるので、相手を前後に揺さぶりやすいです。

カットマンと同様に、守ってミスを誘うだけでは勝ちにくいです。攻撃力を磨いて、緩急をつけたラリーを展開する必要があります。

このように、粒高ラバーでは、打つボールの回転変化は少なくなりましたが、ブロックはやりやすくなりました。

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まとめ

この記事では、卓球のボールの規格変更や、プラスチックボールとセルロイドボールの違いなどについて、解説しました。

色々な問題や背景から、ボールの規格や素材が変更されてきた経緯があります。セルロイドに比べると、プラスチックボールの歴史は、まだまだこれからです。

特徴をふまえて対策をするのはもちろん、新しい楽しみ方を発見するのもいいでしょう。

最後までお読みくださり、ありがとうございました!!

あなたの卓球ライフを応援しています♪♪

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